安倍吉俊画集オムニプレゼンス【購入レビュー】「lainファン必読の濃密な1冊」

先日、1998年に放送されたTVアニメ及びPSソフト「serial experiments lain」のキャラクターデザインを担当された安倍吉俊さんのlain関連イラストを集めた画集、an omnipresence in wired/『lain』 安倍吉俊画集 オムニプレゼンスの復刻版を復刊ドットコムで購入した。

具体的なネタバレは極力避けて本書の内容についてレビューしていく。自分の目で見るのが画集の楽しみだもの。

目次

私とlainとの出会いは小学校高学年の時。当時見た時は正直まったく理解できなかった。冒頭の「プレゼントデイ プレゼントタイム アハハハ」がとっても怖くていつも目と耳をふさいでいたけれど、それでも最後まで見続けたのはなにか惹かれるものがあったからなのだろう。

そうして大人になった今、改めてこのlainに触れその陰鬱で独特な雰囲気と現代のデジタル社会を予見したかのようなテーマと内容に心奪われ、気づいたらこの画集を購入していた。

本書をレビューする前にこの画集の元。「serial experiments lain」について触れておかねばならない。

serial experiments lainとは

「serial experiments lain」とは1998年頃からスタートしたアニメ・ゲーム・グラフィック&テキストからなる月間連載という3つの媒体で制作・展開がなされたメデイアミックス作品だ。

発表から20年以上が経過した今でもファンコミュニティ活動が盛んに行われ「serial experiments lain25周年プロジェクト」として対話型AIサービスが公開されるなど日本国内のみならず海外でも未だ根強い人気を誇る。

serial experiments lainのあらすじ・世界観

存在は認識=意識の接続によって定義され、人はみな認識によって繋がれている。 記憶とはただの記録に過ぎない。というテーマを、現実とネットが入り乱れる情報社会を舞台に14歳の少女岩倉伶音(lain)を通じて描いている。

3つの媒体それぞれでシナリオやアプローチが異なるものの、ネット世界と現実世界の侵食と融合という基本的な世界観や1990年代当時のパソコン文化ーマニアックなマシン・ガジェットの描写やアングラ文化等ーの影響を色濃く受けた作風、そして全編一貫した陰鬱な雰囲気は共通している。

アニメ版オープニング

▷画集のページ数
128ページ

▷画集のサイズ
A4より少し大きいぐらい

▷概要
本画集は1999年に刊行された「an omnipresence in wired/『lain』 安倍吉俊画集 オムニプレゼンス」を可能な限り忠実に再現したハードカバー仕様の復刻版である。
※原本に付属していたクリアカバーは付いていない。

本画集は主に以下の要素から構成されている(順不同)

  • 「月間AX」に連載されていた各Layerイラストと説明
  • サントラやポスター、パッケージデザイン
  • 漫画
  • 設定画
  • その他
  • 解説

前述のメディアミックスのひとつとして「月間AX」で連載されていたアニメとゲームの間に立つようなテキスト&グラフィックからなるLayer1〜5・11・13・00の計8つに加え、新たに書き下ろされた6つが追加されている。

いくつかのLayerには、スケッチや各レイヤー、さらに安倍吉俊さん(オリジナルキャラクターデザイン)と小中千昭さん(脚本・シリーズ構成)による解説・裏話も収録。

ゲームソフトやVHSのパッケージやポスター等のイラスト。

こちらもいくつかの作品ではモノクロスケッチや各レイヤーが収録されている。

本画集描き下ろしの漫画「the nightmare of fabrication」、ビデオのライナーに載っていた4コマ「ちびちびレイン」を収録。

キャラクターやnavi等の設定画や企画段階のモノを含めたスケッチ。lainがまだrainでもあった原案段階のデザイン画や没になったペルソナの衣装案、アニメで特に印象的だった伶音の部屋など、lainにいたるまでの試行錯誤が収録されている。

ウェザーブレイクシリーズやだめだめlainなどのイラスト。

全てのイラストの解説・裏話ページ。

本画集が届いてから2時間ほど読み潰しこの記事を書いている今もチラチラ見ながら、いやチラチラがじっくりにいつの間にか変わってしまっているのでなかなか執筆が進まない。

たぶん、この画集だけでご飯3合はいけるんじゃないかと思う。

独特のテキスト&グラフィックで構成される”layer”やキャラクターからパソコン内部のパーツに至るまで考えられた設定画、まだ企画段階だった頃の原案に至るまで”lain”が濃縮されたこのオムニプレゼンスはlainのイラスト集というよりパンフレットのように思える。

そして

色々な場所で色々な表情を浮かべそこに偏在するlain達や描き下ろしの漫画、安倍吉俊さんの描く”やわらかく”かたく”しかし何処か影がある画がなければこの作品は成立しないのだと改めて感じた。

一度本を開けば「とことんlainに浸かることができる」素晴らしい画集だった。

復刻版ですらも入手困難プレミア化している本画集の入手方法。

定価は6,490円(5,900円+税)
※2023年12月3日時点

販売ページ(注!外部サイトへ移動します):https://www.fukkan.com/fk/CartSearchDetail?i_no=68326660

復刊ドットコムは国内随一の書籍復刊ポータルサイト。20年以上に渡ってサービスを続け会員数は50万以上、6000ものタイトルを復刊させてきた信頼と実績のあるサイトで本画集が復刻されたのものこちらのサイトのおかげ
私自身このサイトで運良く販売されていたのを見つけ定価で新品を入手することが出来たけれど、翌日見たらもう売り切れてしまっていた。

販売再開時にメールで通知をもらうことが出来るので、新品で入手したい方はメールを登録しておくのもありだと思う。

アマゾン・楽天にも出品されているけれどプレミア価格で販売されている物が多い。新品で販売されているものもあるけれど中には新品と謳って中古品を販売している業者もあるので注意してほしい。

「中古品が気にならない」とか「早く読んでみたい!!」人ならばここで入手しても良いと思う。

参考までに新・中古品の最高額は約20,000円〜最低値は約6,500円。(2023年12月2日時点)

メルカリやラクマでも出品されている。アマゾンや楽天とは違いフリマサイトでは出品者に商品の状態を手軽に問い合わせることが出来る。

価格帯としては6,000〜20,000円の間くらい、15,000円が最頻値。(2023年12月2日時点)

現在serial experiments lainは各種配信サイトやブルーレイディスクで見ることが出来る。

アマゾンプライム会員が利用できるプライムビデオのdアニメストアなら初月無料でserial experiments lainを含む全2000作品が見放題!!

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