【レビュー】INTRONDEPOT1「士郎正宗の士郎正宗による士郎正宗のファンのための1冊」

この記事はアップルシードや攻殻機動隊で知られる漫画家士郎正宗さんの画集イントロンデポ1のレビュー記事である。

目次

この記事で分かること

  • イントロンデポのサイズ・構成
  • 士郎正宗ファンによるレビュー
  • この画集を読むときに気をつけるべきこと←最重要

購入した経緯

この画集を購入した理由、士郎正宗の作品が大好きだからこれが唯一にして全て

と書くとこれで終わってしまうので今回レビュー記事を書こうとした理由を少し書いてみる。

元々この画集は1年ほど前に買ったもので特にレビューするつもりはなかった。

けれど先日、海外のコミュニティの方で士郎正宗さんが監督から作画まで担当した映像作品「ブラックマジックM66」が話題になっているという記事を見かけ、もしかしたらブラックマジックM66をきっかけに士郎正宗沼にハマる人もいるかも知れない!

ということで、士郎正宗初期作品のまとめ画集である本画集をレビューしようと思い立ったわけだ。

【レビュー】「INTRONDEPOT1」の情報

注意

レビューを行う前にまずこの画集の注意点について話しておきたい。

私がたまたま状態の悪い1冊を買ってしまっただけかもしれないけれど(返品交換してもらったもう1冊も同じ状態だったので第13版・2002/2/23のロットの問題かも?)「そういうこともあるかも」ぐらいに気に止めておいてほしい。

もちろんどちらも新品である。

追記:アマゾンレビューに同じような糊剥がれ現象が起きたと書いてあったので糊剥がれに関してはこの本の仕様です。

注意点というのは大きく2つある。それは糊剥がれ文字かすれである。

・糊剥がれ

本書を開きすぎるとこんな感じにバリッとなる。ページがバラバラになってしまうと言ったことはなく表紙部分と中身がパックリいってしまうだけ。ただ、この状態になったほうが読みやすい。

・文字かすれ

一部のテキストがかすれて読みづらいあるいは読めない状態になっている部分がある。士郎正宗ファンとしてはこのテキストが最も重要で楽しみな部分の一つでもあるので残念。

20年以上前に出版されたものなのでしょうがないかも?

サイズ・ページ数

サイズ(cm):28.5×21×1.5(大体A4サイズ)

ページ数:147P

表紙:厚紙

画集の構成

本画集は81年から91年に書かれた仕事をまとめたもので、アップルシードや攻殻機動隊、ドミニオン等の漫画本の表紙であったりカラーイラスト・モノクロイラスト・ゲームやら雑誌やらのその他イラストで構成されている。

士郎正宗作品の特徴でもある欄外で設定解説・状況解説がなされる士郎正宗メモ(アップルシードハイパーノートかイラストデータ集でこう名付けされてたと思う)は本画集でも健在で、設定解説のほか画集らしく画材はどのようなものを使ってどのようにして書いたかみたいなメモもあるのでイラスト作成の参考になるかもしれない。

ポスター

画集を開いてすぐ、折込のポスターが入っている。

イラストレーション:漫画

同人時代の最初で最後の作品にしてアニメ化もなされたブラックマジック、商業デビュー作で3度の映像化もなされたアップルシード、押井守監督の手によって映画化もなされ今も尚根強い人気を誇るサイバーパンク作品の金字塔の一つ攻殻機動隊などなど、士郎正宗漫画作品群のイラスト集。

このイラスト群が本書の中核といえる存在でおよそ3分の2を占め、幻のアップルシード5巻の表紙やドミニオンのビデオパッケージ、ボツイラストなどとにかくバラエティに富んだ作品の数々が収録されている。

そしてそのイラストの全てに士郎正宗メモがくっついているのでこれはもうミニ設定資料集と言っても過言じゃない。

イラストレーション:ゲーム・カバー・その他

雑誌のカバーイラストやゲームキャラクターの設定画など。

ゲームの方は割とあっさりと言った感じだけれどカバーイラスト・その他の方はだいぶ濃く、これぞまさに士郎正宗の描く画(メカと女の子)と言った感じ。ジャングルであったりサイバーであったりナースであったりジャンルも豊富で何度見ても飽きない。

モノクロ

こういった画集にモノクロページというのはつきもの、このイントロンデポもその例に漏れずモノクロページがある。

けれど、この画集のモノクロページはモノクロというより設定資料と称したほうが適切かもしれない。

ギュゲスの透視図であったりメカの内部図解であったり、好き者にはたまらない絵がここにはある。数は少ないけれどその数を補って余りある文章と精巧な図解。このページだけで3日は飽きずに過ごせると思う。

「INTRONDEPOT1」のレビュー

士郎正宗の士郎正宗による士郎正宗ファンのための読み物、それがこのイントロンデポである。

この画集は、寝る前・帰宅してすぐ・朝起きてすぐ、ふとなんの脈略も無しに覗きたくなる魔力をどうやら纏っているらしい。そうして1時間ぐらい読みふけり決まって毎回どこかノスタルジックな気持ちになってしまう。

デジタルではなくアナログなイラストがそう思わせてるのかもしれないし、一向に漫画を書く気配がない近頃の士郎正宗の姿をどこか寂しく思っているのかもしれない、あるいはその両方か。

近頃は漫画家というよりイラストレーター、それもエッチな方。というイメージが強い士郎正宗だけれど昔はというかまだ自分で漫画を書いていた頃は日本を代表するSFクリエイターの一人だった。コミカルマイルドSFからハードSF、そして解説無しでは読み進めることが出来ない様なウェルダンSF仙術超攻殻ORIONまで実に多様で面白い作品を産み落としてきた。

もちろん今の士郎正宗の作品も好きだけれど、やはり私はこの頃の士郎正宗が私は好きである。

故に、一番大好きな時代の作品総まとめであるこの画集は、私にとって可愛さメカメカしさ懐かしさ、そしてちょっぴりの寂しさを持つ上質で素晴らしい画集なのだ。

けれど、イラストだけじゃ士郎正宗作品とは言えないし、まだ満足できない。

そう、あの細かな文字がびっしり書き込まれた士郎正宗メモがないと不足した士郎正宗成分を十分に補うことは出来ないからだ。

そうした闇深いやばいニーズにも、この画集は笑顔で応えてくれる。

各イラストごとに用意されたギチギチに詰め込まれた細か〜な文字の群れ

そう!これだよ!これがキくんだよ!

メカと女の子そして士郎正宗メモ、漫画という媒体を画集に置き換えただけで士郎正宗はやはり士郎正宗なのだと感じることが出来た。

ただ、一つ残念だったのは、私が一番好きな作品である警察戦車隊DOMINIONの情報が少なかったこと。攻殻やアップルシードに比べればだいぶマイナーな作品だしこの画集が発売された当時未だドミニオンは1巻しか発売されていなかった(今のところ全2刊)ので仕方がないといえば仕方が無いといえば仕方がないけれど。

あの大友克洋だって新作を出しそうな素振りを見せてるんですぜ

読み切りでもいいから漫画描いてくれ(切実

「INTRONDEPOT1」の入手方法

Amazon・楽天

私は楽天ブックスで買った。品切れすることはめったにないと思う。(一度だけ見たことある

ただ、前述の糊剥がれと文字かすれ問題があるので返品・交換がとっても楽なアマゾンで買うのが良いと思う。楽天も返品することは可能だけれどアマゾンに比べるとかなり面倒くさい。

電子書籍

Kindleや楽天kobo、honto、紀伊国、dmmなどの各種電子書籍サイトを検索してみたけれど今のところ(2023/12/21時点)電子書籍化はされていないようだ。一応CDROM版はある。

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