一千冊をポケットに
本棚とは自分の趣味、勉強、人生が濃縮された存在である。だから、本棚に置かれた本が一冊増えるということは自分の世界がまた広がったことへのある種の証明でもあると思う。
しかし、紙の本が収納できる物理的な本棚のキャパは無限じゃない。それを超えると床・机・ベッドに本が散乱することになる。そう、2週間前の私の部屋のように
新しく本棚を買っても良かったのだけれど、狭い部屋を更に狭くしたくは無いし、本を捨てて新しい本をそこに入れても結局根本的な問題解決にはならない
そこで、思い切ってほとんどすべての本を電子書籍に移行してみた。
電子書籍化されていない一部の本は紙で残してあるけれど、あまりスペースも取らないので問題外
そこで今回は電子的引越を経験した筆者が感じた電子書籍に(ほとんど)完全移行してよかった事・悪かったことを書いていこうと思う。
電子書籍(ほとんど)完全移行のいいとこ悪いとこ
いいとこ:紙と電子、どっちつかずな状況からの開放
初めに、電子書籍に移行した理由として「部屋のスペースがねぇ」と書いたけれど、実はそれ以上に大きな理由がもう一つある。
それは、紙書籍と電子書籍による分断である。
3ヶ月前私は人生始めて電子書籍リーダーというものを購入したのだけれど、それがもう本当にびっくりするぐらい快適で、最近は電子の本棚にも本が並ぶようになってきた。(紙の本量にはさすがに敵わないけれど、それでもそこそこの量だ)
つまり物理的な本棚に加え電子的な本棚が作られてしまったわけだ
しかし、これがまずかった
家にいる時は紙も電子も手に取ることができるのであまり気になることはないのだけれど、問題なのは外出している時、つまり紙の本棚にふれることが出来ない時で
「あぁ、あれは紙で買っていたっけ」
こういう事が頻繁に起こる。家に帰って読めばよいのだけれど、そのむず痒い気持ちを抱えながら過ごすというのも気持ちが悪い。
この”どっちつかずストレス”からの開放は、物理か電子、どちらかの本棚への本の集約でしか成し遂げられない。
そして、私は電子本棚を選択したのであった
結果から言えば、その選択に間違いはなかったと言えると思う。外出先でも好きな本を読めるし、Kindle電子書籍リーダーの快適さをすべての本で享受することができる。(これについては後述)
さらに、電子版に1本化したことによって本を購入する際の「紙版を買おうか?電子版を買おうか?」という購入前のちょっとした迷いからも開放された。
この迷いの正体も、また”どっちつかず”から生じるものだと私は考えている。例えるならば、ディアゴスティーニだ。ディアゴスティーニは毎週毎週分割でパーツなり本なりを届けてくれるありがたいサービスである。
最後まで揃えれば、ある程度ものが出来上がる。しかし、途中で購読を中止してしまうと、中途半端な状態で本なりパーツなりが残されてしまうので意思が弱い人はしょうがなく続けてしまう…
紙OR電子の迷いもそれと同じ。
ディアゴスティーニのように中途半端に残してあるから「紙で買おうかな」という迷いが生まれてしまう。その中途半端な部分を一切合切捨ててしまえば、そもそもその選択自体が生まれないのでサッと購入に踏み切ることができる。
それに長期的に考えたら電子書籍の方が安いし・劣化もないし・スペースも取らないしで、紙の本より断然お得だしね。
いいとこ:Kindleリーダーで読むという快適さ
私は本を決まった場所で読む事をあまりしない。床だったり、机だったり、ベッドだったり、歩きながらだったり、とにかく読書のためのお決まりの場所というものがない。図書館のような書斎というのも憧れるけれど、どっしり構えて読むというのがどうにも性に合わない。
そんな私のための読書端末と言ってもいいのが、Kindle電子書籍リーダーである。Kindle電子書籍リーダーは薄くて軽いのでどんな体勢でも読めてしまうし、どこへでも持っていける。もう最高すぎる。
中でも一番素晴らしいのが周囲の明るさに関係なく快適に読めてしまうということ。というのも、私のような適当場所読書の一番の障害となるのが周囲の明るさだったからだ。
読む場所を固定してしまえば照明をその場所においてしまえば明るさを一定に保つことが出来、快適に読める。けれど適当場所読書の場合、周囲の明るさがめちゃくちゃ暗かったり、逆にめちゃくちゃ明るかったりして読書に支障をきたすことがよくある。結局、快適な明るさを求めて右往左往が始まり読書に集中できない。
※明るいに越したことはないだろうと思うかも知れないが、電子書籍リーダーでなくiPadを使って読む場合に、画面が反射しまくりで身だしなみチェックになってしまうので明るすぎるのも考えものだ。
でも、Kindle電子書籍リーダーなら画面の明るさを自動で一定に保ってくれる。
これまで、紙で買っていた本ではその快適さを享受することが出来なかったけれど、今回、電子書籍に移行したことによってほとんどすべての本でその恩恵をうける事ができるようになった。
悪いとこ:本を手に取る楽しさの喪失
電子書籍に(ほとんど)完全移行して2週間ほど経った今、唯一感じている不満点が「本を手に取る楽しさの喪失」だ。
紙の本には手に取る楽しさがある
初めて手に取る本でならば表紙のインパクトや裏表紙の紹介文、あるいは厚みや重さから湧き出てくるワクワク感であったり、一度読んだら本ならば思い出であったりその本で得た情報・知識であったり、とにかく紙の本は手に取るだけで楽しいのである。
もちろん、電子書籍も本の中身は同じだ。書いてあることも載っている図も全く同じもの。だけれど、電子書籍には「本を手に取る楽しさ」がない。データなので物理的に手に取れないとかそういう話ではなく、本を選んでいて楽しくないのである。
私の使っている電子書籍プラットフォームであるKindleの本棚はこんな感じ。(著作権の関係でぼかしている)
本のタイトルが書かれた背表紙しか見えない紙の本棚と表紙がズラーッと並ぶKindleの本棚。
もちろんインパクトがあるのはKindleのほうなのだけれど、個人的には背表紙しか見えない紙の本棚の方がワクワクする。同じ感覚の人もきっと多いと思う。
なんというか、電子書籍の本棚は読書するための並びというより消費するための並びに見えるのかもしれない
この点で言えば、昔のAppleブックアプリのUIは紙の本棚とKindleの本棚のちょうど中間のような感じで好きだったのだけれど、いつのまにかKindleと同じような消費志向の強い全く面白みのないデザインに変わってしまっていた。ありゃりゃ
まとめ
今回は、所有している本をほぼ完全に電子書籍にお引越しさせてみて思ったことをまとめてみた。まだ2週間しか経っていないので短期的な報告にはなるけれど、今のところは今回のお引越しは成功したと言えるだろう。
物理本棚と電子本棚の間に生じていたストレスが無くなり、紙と電子どちらのバージョンを買うかへの迷いもなくなり、部屋の壁にどっしり構えていた1×0.5×2メータの本棚も無くなった(正直、これが一番嬉しい)。
とはいえ、「手に取る楽しさ」という本の醍醐味の消失や電子書籍化されていない本の扱い等、完璧に紙の感覚をそのままに引越できたわけではないというのが少し残念。
まぁ、ミニマリストを目指しているわけじゃないし、慣れという部分もあると思うので半年も経てば全く気にならなくなっているのかも知れないけれど
また、このお引越しについては取り上げたいと思う。