一ヶ月待たされたiPhone16Proのファーストインプレッション

9月13日午後9時31分

何十ものページ更新と無限ロードをくぐり抜けなんとか予約開始日に注文できたiPhone16Pro

それから、およそ一ヶ月にわたる焦らすプレイに耐え抜き、本日ようやく、本当にようやく手に入れることができたので

この記事では、そのファーストインプレッションをお届けしたい。

目次

外見

おなじみのギッチギチの箱を慎重に慎重にグラグラさせ、いざおひろめ。

箱から取りだし、画面フィルムを剥がして、そうして矢継ぎ早に「じゃあ、ささっとデータ移行を済ませますか」とはならないのがAppleデバイスである。

まずは、取り出したばかりのそのデザインをじっくりと眺めるのが楽しみというもの。特に今回の場合は30日も待ちに待たされた製品のそれなのだからその興奮も一入だ。

まず、最初に目を奪われたのが側面の光沢の艶。Proモデルは15シリーズからチタニウムがフレーム材として使われているが、これほどまでに美しいとは思わなかった。

Proの名にふさわしいエレクトロニクス製品のようなクールで無骨な雰囲気と、しっとりとしたエレガントなムードを兼ね備え、ライトを向けると主張しすぎない程度に、だがしっかりと輝く。

その輝きをほとんど完全に覆い尽くしてしまう純正シリコンケースを買ってしまったことをまだ装着してもいないのに後悔した瞬間であった。

存分にサイドを楽しんだところで、次は背面に

御存知の通りProシリーズの背面には婉麗な側面とは対象的なバカデカ3眼カメラが装備されている。iPhone11シリーズ以降、良くも悪くもProシリーズのシンボルでもある、この”出っ張り”

これが気に入らないから少しでもマシな無印モデルを買う人もいると聞くが、私はそこまで気にならない。(iPadのそれに関して言えば、定期的に削り落としたくなる程度の存在ではあるけれど)

確かに、上箱を外した時は多少の苦笑いがあった。しかし、側面の気品あふれるおしとやかさを堪能した後でもう一度その巨大な出っ張りを見ると、ファーストコンタクトとはまた違った印象を受けるのである。

例えるならば、華奢な体に見合わない大口径のカノン砲を装備させたような“アンバランス”さ故のロマンがそこにあったのだ。

“買ってしまったバイアス”が少しばかりかかってるとは言え、個人的には無印のカメラよりProのアンバランスさのほうが私の好みにあっている。

それに少し余談にはなるけれど、空間ビデオ撮影のために縦配列になってしまった無印iPhone16のカメラ配置は何だかiPhone感が無くあまり好きではないというのも今回Proを選んだ理由の一つだ。

個人的にホームボタンが廃止された今のiPhoneのシンボルは”斜めのカメラ配置”と”Dynamic Island(Notch)”だと個人的に思っていたので、GalaxyやXperiaと同じ縦置きカメラを採用したことに正直びっくりしている。

そもそも、横持ちでなく縦持ちで写真なり動画なりを撮影する今であれば、縦置きよりiPhone8Plusのような横置きカメラのほうが良いのではないかという気がしなくもないが、そうなると少しばかりGooglePixelシリーズと印象が被ってしまうのだろうか?しかし、それを言うなら前述の通り縦置きの方が画一的であるし、うーん、

これ以上行くと話がそれてしまうのでとりあえず、背面のデザインに話を戻そう。

さて、少し心配だったカメラが予想以上に良かったので、少し呆けていた私だったが、その緩んだ顔が一瞬で真顔になるほどの重大な問題を背面に見つけてしまった。

そう、Appleマークが見えずらいのである。

このAppleマークについて、一般の人は「あぁAppleの製品についているマークね」程度にしか思わないと思う。だが、我らAppleパトロンからしてみれば、それはニシキの御旗であり、安心の証でもあり、友であり、師でもある存在…

完全な林檎でなく少し欠けているというところが、血も涙もない完全無欠なハイテック企業らしからぬチャーミングさ醸し出していて良い。(それは社名もそうであるが)

とにかく、この林檎は(少なくとも私にとって)単なるコーポレートマークとしての意味を超えた一つのAppleという象徴の証なのである。

しかし、その林檎がこの背面ではかすれてしまっている。

Macもこのマークが天板にあるからこそ、わざわざスタンドに立てているほどであるのに…

だが、ほんの数分前に実機も見ずに買ってしまったことを後悔した純正シリコンケースがここで大活躍する。

そう、ケースにもその林檎が刻まれているのだ。

やはり純正ケースを買っておいてよかった。

中身

その気品あふれる外見をあらかた楽しむことが出来たので、ここからiPhone16Proのモツ、つまりソフトウェアについて書いていきたいのだけれど、

今回は同じ”iPhone”からの、しかもたった2世代前の機種からの乗り換えであるので、正直に言ってしまえばAndroidからiPhoneに乗り換えたときほどのインパクトは無い。

iOS18も良いアップデートであったけれど、ぶっちゃけAndroidの後追いアップデートであったことは言うまでもないし、今のところiPhone16だけの特権であるカメラコントロールボタンも私はXperiaで経験済みであるのでそこまでの衝撃はない。

確かに、単なるシャッターボタンであったXperiaのそれと比べれば、いくらか多用途ではあるものの、結局言ってしまえば”各種カメラ機能のショートカットスイッチ”である訳で、Appleの言うような”先進的なカメラシステムをパワフルにアップグレードするカメラコントロール(引用:NewsRoom)”という謳い文句とは(私個人の主観としては)ある程度の剥離があるように感じた。(”革新的”やら”全く新しい”やらといった少し誇張気味な形容詞は、Apple製品につきものではあるけれど)

それに、Apple Intelligenceも日本語圏ではまだ…

おっと、これ以上言葉にすると「iPhone14のままで良かったんじゃないのか?」という疑問が頭の中で根を張りそうなのでこの話題はここまでにしておこう。

それに、進化の鈍化はiPhoneだけの話ではないしね。

ただ、乗り換えの感動がまったくなかったわけではなく、細かいところでちょっとした新鮮味を感じることはあったのでそれについて書きたいと思う。

まず初めに感じたフレッシュさは、何と言ってもDynamic Islandだろう。今まで画面上部のベゼルからニョッキと生えていたノッチが切り離されて孤島になっただけでだいぶ画面の開放感がましたように思える。これには、iPhone16ProがApple製品の中で最も細いベゼルを採用した点や、ディスプレイそのものが多少大型化した点など、小さな小さな改良・変更の賜物であるとは思うが、最大の要因はDynamic Islandに違いない。

さらに、Dynamic Islandはただのパンチホールではなくそれ自体が一つのコントロールを担っている。例えば、音楽を再生している時であれば左右に現在再生されているアルバム・プレイリストのジャケットと音声波形のようなものが表示されるし、ライトであればライトの範囲と照度を調整できるコントロールが表示される。それに加えそれらアプリのショートカットアクセスにもなるので本当に素晴らしい孤島だ。

また、ミュートボタンが特定の操作を実行できるアクションボタンになったことも好印象だ。これはカメラコントロールと同様一部のアンドロイド端末ではすでに何年も前から搭載されていたボタンであるので、それ自体への目新しさはあまりなかったがあるに越したことはない。

私は主にiPhoneをメールやリマインダー、カレンダーなどタスク・スケジュール処理の母艦・写真撮影・音楽再生などに使っているが、この中の音楽再生、つまり音楽アプリへのショートカットとしてアクションボタンを使用することに決めた。

これまでは一々iPhoneを開かなければ音楽アプリにアクセスすることが出来なかったが、ワンボタンでアクセスすることが出来る様になったというのは、たった2、3秒の差とは言えど非常に快適である。

iOS18ではコントロールセンターやロック画面をこれまで以上にユーザー好みに変えることが出来るようになったので、今後アクションボタンに割り当てる動作は変更になるかもしれないが、どちらにせよ非常に有益なアップデートには違いない。

最後に、問題のカメラコントロールについて取り上げよう。

iPhone16シリーズのセールスポイントの一つでもあるこの機能については「間違いなく便利だけれど、新機能であるがゆえに洗練されてはいない」といった印象を受けた。

これまでカメラを起動させるためには、一度電源ボタンを押して画面を横にスライドさせる、あるいはショートカットボタンを押すといった動作を挟まなければならなかった。しかし、カメラコントロールボタンはワンタップで起動でき、そしてすぐ撮影を始めることが出来るので、大切な瞬間を逃さない。またQRコードを読む際にもサクッとURLを踏めるので非常に便利だ。

だが、カメラコントロールボタンはの一番の目玉はカメラ機能に最速でアクセスすることが出来るショートカットではなく、それを利用したレンズ選択や露出調整などの各種カメラ機能のコントロールである。というかここまではXperia等のアンドロイドではすでに出来ていたことだ。だからこの”コントロール”がアンドロイドとの差別化、ひいてはiPhoneでしか使うことの出来ない”Appleだから出来ること”と言えると思う。

しかし、初めに書いた通り新機能故にあまり洗練されていない印象を受けた。物理的なボタンのように各種カメラ機能を調節できるのは良いけれど、個人的には従来のカメラアプリUIで行う操作と比べて一段と早くその機能にアクセス出来るショートカットになっているかとは思えなかった。むしろ画面上での操作のほうが早いまであると思う。それに、正直今までと同じ機能に別のやり方でもアクセス出来るようになりましたと言われても「ふ~ん」としかならない。

ただ、こういったユーザービリティの部分については今後のアップデートで確実に改良されていくのだから現時点でカメラコントロールに対してネガティブなイメージを持つのは時期早々だろう。

特にiPhoneのカメラ機能に全般に関して言えば、年内にはカメラコントロールで操作する2段階シャッターが追加されたり、Apple Intelligenceを使ってカメラから直接検索することが出来たり、もちろん、AppleVisionPro用の空間ビデオ・写真を撮影できたりと今後も成長していく機能の一つであることは間違いないので、それと密接に関わるカメラコントロールもそれに応じて自ずと進化を遂げていくはずだ。

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